時と場所を変えよう。

『六王権』復活より若干時は遡る。

日本・・・冬木市ではもう一つの戦争が幕を開けようとしていた。

『聖杯戦争』が・・・

聖杯の書一『日常』

夢を見る・・・

十一年前、俺から実の両親を奪いつくしたあの業火を・・・

眼の前で生きたまま火葬される人、既に炭と化した人だったモノ・・・

怖かった・・・

ああなりたくなかった。

だから俺はただひたすら生きようと前を進んだ。

助けを呼ぶ幾つもの声を振り切って・・・

懇願する声を無視して、ただひたすらに進む・・・

それでも俺はただひたすら進む。

しかし、それももう限界。

俺は静かに倒れる。

このまま死ぬのかと天に手を伸ばす・・・

その先には・・・







あの大火災の後俺は奇跡的にも助け出された。

そして医者は言う。

"あの地区で生き残ったのは君ただ一人だと"

その時には実感が沸かなかった。

いや違う。

あの大火災で俺は命は助かったかもしれない。

しかし、結局はそれだけ。

俺は五体こそ満足に生き延びたが心は死に絶え真っ白となり空っぽとなり、何も無かった。

ただ生きている・・・いや生かされている。

実感が沸かないのではない。

もはやその様な事に震える心も泣きたくなる様な感情も悲しいと思う事も・・・何もかもが全て灰となったに過ぎなかった。

そんな時俺は出会った。

俺の空っぽで虚ろな心に注ぎ込む夢と理想を与えてくれた親父に・・・

"やあ、こんにちは君が士郎君かい?"

親父は最初そんな事を言ってきた。

そして有無をも言わせず率直に言ってきた。

"君に聞くけど君は孤児院に預けられるのと今日初対面のおじさんに引き取られるのどっちが良い?"

なんて言われた日には唖然としない方がおかしい。

しかし、それでも俺は思わず笑った。

あの大災禍以降初めて持った人間らしい感情だった。

だからこの爺さんに引き取られようと思ったんだ。

これが十一年前の出来事。

そして・・・







「・・・・・・う・・・朝か・・・」

土蔵の隙間から漏れる明かりに俺は朝を自覚する。

「またやっちまったな」

そう言いながら床に無造作に置かれたブレスレットとグローブを両手にはめる。

ここ数年俺の寝床は自室でなくこの土蔵と化している。

学校の連中が持ち込む家電品の修理が主だった理由だが深夜となると強化や投影の修行場となる。

「んっ・・・時間は・・・」

背伸びしながらそう言っていると、土蔵の扉が開かれる音がする。

「先輩?起きていたんですか?」

そう言いながら顔を出すのは、艶やかな黒髪を片方のみリボンで止めた少女。

「ああ、今起きた所だ。桜、おはよう」

「はい、おはようございます先輩」

そう言いながら彼女・・・遠坂桜と挨拶を交わす。

「あれ?桜がここに来たという事は・・・俺寝過ごした?」

「いいえ、先輩は少しも寝過ごしていません。私が少し早かっただけですから」

「そうか・・・そうなると凛は?」

「姉さんは・・・いつもの如くです」

そう言って桜は苦笑する。

「あいつ本当朝には弱いな・・・」

そういった俺もきっと苦笑している。

「さて、まあそれはそれとして、食事の準備に入るとしよう」

「はい、先輩」







自室で制服に着替えるとその足で台所に向かう。

既にご飯は炊き上っているのを確認してから冷蔵庫を覗き込み今日のメニューを考える。

とりあえず・・・ご飯に味噌汁はわかめと長ネギ、そして油揚げ・・・納豆・・・鮭の切り身・・・そんな所だろう。

「じゃあ桜は鍋に水をはって火に掛けて、それから鮭を焼いてくれ。俺は味噌汁の具を用意するから」

「はい」

俺と桜は実に手際よく準備を進めていく。

そんな中玄関から

「おっはよーーー!!」

と、朝も早くからハイテンションな声と共に藤ねえが駆け込んでくる。

それと同時に玄関から

「うう〜おはよ〜」

朝から聞いているこっちが沈みそうなローテンションな声が聞こえてくる。

丁度準備を終わった桜が牛乳をコップに注いでから、絶妙なタイミングで居間にやってきた少女にそれを渡す。

「おはようございます姉さん、はい」

「うう〜」

聞いているのか聞こえていないのかわからないが、半ば本能に近い形でそのコップを受け取り雄雄しく一気飲みする。

それから先程とは打って変わってシャキっとした姿勢と声で

「おはよう桜、ついでに衛宮君」

にっこりと笑って彼女・・・遠坂凛は挨拶をかわす。

「こら凛、俺はついでかよ」

もう慣れたもので俺も笑いながらそれに答える。

「あら?衛宮君朝の挨拶はどうしたの?」

「あーそうだったな。おはよう凛」

「ええ、おはよう」

俺との挨拶に嬉しそうな表情で言う凛。

「士郎〜お腹へったよぉ〜ご飯は〜」

「あ〜もう少し待ってろ藤ねえ」

飢えた虎が暴れる前に餌を与えとかないと始末が悪い事になりかねん。

俺はてきぱきと準備を整えると人数分居間に揃える。

「はいよお待たせ。じゃあいただきます」

「「「いただきます」」」

その言葉と共に全員食事を始める。

「うーーん!!やっぱり士郎の作るご飯は最高!!と言う訳で士郎おかわり!!」

「はいはい」

「はぁ〜やっぱり先輩の作るお味噌汁は美味しいですよね」

「そうか?俺としてはまだまだの出来なんだが」

「冗談でしょ衛宮君、あんたコックでもなるつもり?」

「そう言う訳でもないんだが・・・そういやもう直ぐ卒業だな・・・」

「何言っているのよ?もう一月も終わりよ」

「いや・・・何となくな。所で凛、お前卒業後はどうするんだ?」

「私?私は倫敦に留学する事がもう内定済みよ」

「ああ、そうだ。そういや倫敦の美大に留学するような事言っていたな。すっかり忘れていたよ」

「そう言う衛宮君の方こそどうするのよ?」

「俺か?俺としては・・・まだ決まってないからな・・・親父の様に世界を武者修行にでも出るかな?」

「ふーん・・・そう言えば士郎、切嗣さんと言えば、あの子最近どうしてるのかな?」

「「あの子?」」

桜と凛が、はもって尋ねる。

「ほらあの子・・・えーと」

「志貴だろ?」

「そうそう!!」

「「??」」

二人が首を傾げる

「衛宮君、志貴って?」

「ああ、親父の遠縁の奴」

「仲良いんですか??」

「まあな、年も近いし、あいつと一緒にいると楽しいからな」

「殆ど顔見ていないけど、彼元気でやっているのかな?士郎にとっては数少ない男友達でしょ?」

「ああ、時々来るぞ。まあ最近は少しごたごたがあって泊り込むって事は無いけどな」

「ごたごた?何かあったの?」

「ああ、志貴の奴結婚したんだよ」

「「!!」」

その台詞を聞いた瞬間凛と桜は何故か同時に緊張させる。

逆に藤ねえは興味しんしんに尋ねてくる。

「へえ・・・で、どんな子だったの?」

「それがな・・・ここだけの話だが七人なんだよ」

その瞬間時間は止まり、

「「「ええええええええ!!!」」」

三人の絶叫が木霊した。

まあ普通は驚くだろうな。

それも七人全員並外れた美女揃いと来ている。

結婚式に呼ばれ、それを直に見た時マジで驚いた。

「ちょっと!!し、士郎!!それ本当なの!!」

「ああ。何しろ実際見たから」

「そ、それって・・・一人正妻で残りは愛人って事??」

「いや、志貴の話だと全員正妻扱いとの事だ。序列とかつけたくないって事で、ただ名目上は二人正妻としているようだけど」

「だ、大丈夫なんですか!!」

「ああ、法律上の手続きも潜り抜けたようだし、何より七人とも合意の上での結婚なんだと志貴本人が言っていた」

「はあ・・・世の中いろいろな人がいるのねえ・・・」

「そう言う事だ。それよりも時間大丈夫か?」

会話が一段楽したのを見計らい俺はさり気なく時計に注意を促す。

「えっ?」

「ああああ!!!もうこんな時間!!急がないと!!」

「あーーっ私も!!今朝職員会議があるんだーーーー!!」

時計を見た三人は三者三様に驚愕し急いで朝食をかきこむ。

「流しに入れておけば夕方俺の方で洗っておくから」

「すいません先輩!!お願いします」

「ほら桜!!急ぐわよ!!部長のあんたが遅れたら示しがつかないでしょうが!!」

「士郎も遅れちゃ駄目よー!!」

賑やかに女性陣三人は駆け出していく。







遠坂凛・遠坂桜・・・無論だが内の高校では有名な美少女姉妹である。

品行方正、成績優秀、礼儀正しく、おまけに姉妹揃ってあの美貌。

憧れる生徒は男子、女子問わず数あまた。

二人に告白した生徒も中にはいると言う話も聞く。

無論だがこの俺もご多分に漏れず遠坂姉妹に憧れていた口である。

俺が穂群原高校で有名なこの姉妹とここまで親密になれたにはきっかけがあった。

ありきたりと言えばありきたりであるのだが・・・あの時は驚いた・・・

一年前の春・・・丁度一年生の新入部員歓迎の為、藤ねえ権限で俺の家が歓迎会場に使われた(無論料理などは俺が作るはめとなった)後・・・部活も終わった俺が帰ろうとしていた矢先、桜に呼び止められた。

「衛宮先輩」

「誰って・・・遠坂?どうかしたのか??」

内心面食らった。

かの学園のマドンナ遠坂凛の妹と言うだけでも充分に人目を引くが、桜自身も凛に勝ると劣らない美人だし、何よりも姉には無い可憐さを持っていた。

その為、部活の入部では各部、水面下で暗闘が繰り広げられていたと専らの噂だし、弓道部では入部して直ぐに三年やら二年が口説いていたくらいだからな。

「はい・・・その・・・衛宮先輩お料理上手なんですね?」

「えっ??ああ・・・まあな。一人暮らししているから自然と上手くなっただけだよ」

「一人暮らし??あんな広い家に暮らしているのにですか?」

「まあな。色々あったから。それで料理がどうかしたのか?」

「はい、料理を少し教えて頂きたいんです」

「料理を?」

「はい、駄目でしょうか??」

「いや別に構わないぞ。何時でも良いと言いたいんだが・・・バイトとかあるから俺の都合に合わせる形でも構わないか?」

「はい、大丈夫ですよ先輩」

で、次の日曜日にお邪魔すると言う事で決まった。

まあ俺もいっぱしの男、桜が来るということで当日はかなり気合が入った。

(これを機に仲良くなれれば)

そう考えてもいたのだが、不意に冷静になる。

「何を考えているのか・・・あくまでも遠坂は料理を教えて欲しいだけで来るんだからな・・・止めだ止め」

先走りし過ぎた己を嘲笑うと、改めて準備に入る。

「まずは腕前がどの程度か知らないと・・・」

そう言っているうちに、インターホンが鳴る。

「来たか、はいはい今出ますよ」

慌てて玄関口に向かうとそこには予想を遥かに超える光景があった。

「こんにちは先輩。お邪魔しますね」

「ああ、それは構わないが・・・俺・・・お前の姉さんにも声掛けたっけか?」

「あら?衛宮君、私がいると何か不都合でも??」

そこにいたのは桜ともう一人・・・彼女の姉であり、学園のマドンナとも目される遠坂凛がいたのだから。

俺のうろたえた姿を見て凛はやや機嫌を害したように尋ねるが普通は驚くだろう。

それにしても・・・桜は評判通りの性格だったが、凛はかなり猫をかぶっていた事が判明したのは思いがけない副産物だっただろう。

おそらく猫の皮を二桁の量は被っている。

それでも凛が桜とは別の意味で魅力的な女性である事には変わりは無い。

そして桜に料理を教え、凛はその様子を絶えず見に来る様になり、気がつけば朝と晩には飯を食べるようになり、今の状況が一年以上にわたって続いている。

ちなみに、最初は姉を『遠坂』、妹を『桜』と呼んでいたのだが『何で私が苗字で桜が名前なの??』と、危険な笑顔で尋ねてきたあかいあくまの一声で両方とも名前で呼ぶようにしている。

そして、凛と桜がこの衛宮家に通っている事を知っているのは、同じく家で飯をがっつく藤ねえ以外にはごく少数しかいない。

そんな事が知れれば大パニックになるだろう。

と言うか、俺にもろ危害が及ぶ事は想像するに容易い。

それに・・・

「あまり騒がれるのも問題だからな」

そう・・・間も無く『聖杯戦争』が始まる。

ここ一年いつ始めるか極めて不安定な状態が続いていたようだがもう限界だろう。

おそらく凛・桜共にマスターに選ばれる。

二人とも優秀な魔術師だ。

もう俺が半人前の魔術師である事など薄々承知しているだろう。

その事は別にどうでも良い。

俺が魔術師・・・いや、魔術使いであろうとも別に凛達に危害を加えるつもりはないのだから。

しかし、必要以上に注目を浴びて、二人にあの事だけは知られてはいけない。

俺がその聖杯の元『大聖杯』を破壊しなければならないと言う事は・・・。

師の命であるだけでない。

あれから色々調べて判った事がある。

『大聖杯』を巣食うのがなんなのか?

何故その様なものが巣食うようになったのか?

そして、あの十一年前の大火災の原因も・・・

だがそこまで判っていても俺は切嗣を・・・親父を恨む事は出来なかった。

確かに俺から実の両親を奪ったきっかけを作り出したのは親父かもしれない。

しかし、俺をあの大火災で救ってくれたのも、何よりも空っぽの俺にかけがえの無い理想を与えてくれたのも、間違い無く親父なのだから・・・

俺が俺としてあり続けられる為にも・・・あの過去に決着をつける為にも、そしてあの過去と決別する為にも・・・『大聖杯』は俺の手で破壊しないといけなかった。

だからそれを二人には知られる訳にはいかない。

あの二人と敵対などしたくないから・・・出来ればこの戦争が終わった後も大切な友人として後輩として接していたいから・・・

「おっと・・・考え事しすぎたな。もうこんな時間か」

俺は戸締りをしてからゆっくりと学校に向かっていった。







時間を戻す。

「うひゃあああ!!遅刻遅刻!!」

大河は既にドップラー効果を撒き散らしながら遠坂姉妹の遥か前方を駆けている。

「藤村先生本当お元気ですよね」

桜が苦笑しながら爆走する大河を見やる。

「本当ね。藤村先生があんな性格だから衛宮君も所帯臭くなったのかしら?」

凛も苦笑して妹の言葉に応じる。

「あは、それはあるかも知れません」

肯定とも取れる言葉でそう答える桜。

「それにしても姉さん、私達はもう少し余裕があっても良かったのではないでしょうか?」

そう聞くと凛はやや表情をしかめる。

「桜、あんた体重幾つある?」

「えっ?」

「私体重増え始めたのよ。衛宮君の食事を頂く様になってから少しづづ」

「姉さんもですか・・・実は・・・私も・・・」

「美味しいのは良いんだけど・・・美味しすぎると言うのは問題大有りね」

「まったくです」

理不尽極まりない凛の言葉に、何の躊躇い無く桜は頷く。

それならば食べ過ぎなければ良いのにと思うだろうが、士郎の食事は本当に美味しい為、箸が止まらなくなる。

と、不意に

「それと・・・桜」

「はい?」

凛がいつもの学校の優等生でなく、頼りになる姉でもない魔術師遠坂凛の顔になる。

「・・・今夜呼ぶわよ。準備は良い?」

呼ぶ・・・『聖杯戦争』で共に戦うサーヴァントを呼び出す召喚の儀式である。

既に準備は万端、後は今夜の召喚を待つばかりである。

その言葉に桜も魔術師の顔で頷く。

「・・・わかりました。私も準備は出来ています」

二人には既に令呪が現れつつある。

「姉さん、それで先輩はどうしますか?それ程強い魔力は感じませんが・・・」

桜の言葉に凛はやや首を傾げる。

「彼は・・・多分シロだと思うけどもう少し監視するとしましょう。どう言った魔術師かもわからないし、ひょっとしたら巧妙に魔力を隠しているかも知れない・・・何より彼が本当に魔術師なのかすらもわからないから」

「はい・・・」

二人の言葉からも判る様に既に確証こそ得ていないが、衛宮士郎が魔術師である事は二人とも承知していた。

普通であれば他の魔術師の家に通う事などありえないタブーだ。

それでも二人がそのタブーを犯してまで衛宮家に通うのは『聖杯戦争』で彼もマスターの一人であるかの調査も理由の一つであるだろう。

しかし、何よりも衛宮家の温かい空気に二人とも惹かれている為だ。

受け入れる事しか知らず、到底魔術師の家とは思えない。

それはあたかもその家の主の性格をそのまま表しているかのようだ。

そこまで考えが及ぶと不意に凛が溜息をついて愚痴を零す。

「それにしても・・・なんで姉妹揃って同じ男に惚れるのかしらね?」

「まったくです。よりにもよって姉さんが恋敵だなんて」

そこに思考が及ぶに至り、二人はやや頬を赤く染めて言い合う。

実は二人が共通の想い人・・・衛宮士郎と最初に出会ったのは高校ではない。

中学の時の事だ。

所用で別の中学を訪れたその帰り、二人はそれを見た。

夕暮れの校庭で何回も何十回も高飛びのバーに挑む赤毛の少年を。

少年は既に察していた。

姉妹は一目見てわかった。

そのバーの高さは到底今の少年の身体能力で飛べるものではないと言う事は。

それでも少年は挑み続けた。

それは決して不可能ではない事を証明するかの様に。

事実それは少年にとって儀式めいたものだった。

この二日前、彼は生涯にわたる盟友七夜志貴と出会った。

彼との誓いを生涯貫く為、彼はあえて飛べる筈のないバーに挑んだ。

必ず飛べる様になってみせる。

いや、してみせる。

それと同じ様に、自分の目指す道を諦める事無くただひたすら進み、いつの日か辿り着いて見せよう・・・

その鋼に等しい決意を更に強固なものとする為の儀式。

理解などされなくても良い。

いや、される必要は無い。

これはあくまでも彼の自己満足の為に行う儀式なのだから・・・

そして、事実最初こそ姉妹は呆れていた。

何故そのような無駄としか言いようの無い事を行うのか?

最初姉妹は同じ感想を持った。

理解出来なかった。

魔術師である以上成功の確率が低かろうとも、成功するのであれば挑んでみせる。

しかし、確率が皆無なら挑戦など決してしない。

挑む事自体が無意味だから。

諦めてしまえばいいのにと思った。

しかし、少年は挑み続けた。

何時しか彼女達はそれを食い入る様に時間も忘れて魅入った。

その姿勢を尊いものと感じた。

何時しか名も知らぬ少年を応援していた。

しかし、結局はそれだけ。

少年は一度も飛べる事無くその場を後にし、姉妹も少年の名を聞く事無くその場を後にした。

普通ならそれだけで終わる筈であった。

しかし、現実は違った。

月日が流れ、桜が高校に入学してから暫くしての事、帰宅してきた桜が唐突に凛に告げてきた。

「姉さん」

「桜どうしたの?」

「あの・・・あの人覚えていますか?」

「あの人って?」

「走り高跳びの人です」

妹の言葉にはっとした。

忘れる訳が無い、忘れられる訳が無かった。

四年前、姉妹に鮮烈な印象を与えたあの少年。

「む、無論覚えているわよ。でも彼がどうしたの?」

「・・・弓道部の先輩でした」

頬を赤くしてそんな発言をしてきた。

「嘘・・・」

「本当です。最初はわかりませんでしたがあの人でした」

「そ、そうなの・・・それで?私にどうしろと言うの?まさかとは思うけど、引き立て役になってなんて言う気じゃあないでしょうね?」

「ち、違います!!実は・・・少し先輩を見て欲しいんです」

「見る??どう言う事?」

「先日先輩の家に弓道部の人皆で言ったんですが・・・先輩の家に魔術的な結界が施されていたんです」

凛の表情が変わる。

「桜それ本当??」

「はい間違いありません。巧妙に隠されていますが」

「結界の内容は??」

「侵入者の警報だけです」

「??随分と受身なのね・・・良いわ。だったら私もその家見てみるわね。何時『聖杯戦争』が始まるか判らない以上不審人物は一応調べておかないと」

「はい、日曜日に先輩に料理を教えてもらう事になっていますのでその時に姉さんにもお願いします」

「料理??」

「はい、先輩料理凄く上手なんです。ですから」

「まあ潜り込むには一番最適な理由よね・・・じゃあ私は桜の事が心配でついて来た。って言う事にしましょう」

「はい」

「そう言えば桜、彼の名前ってなんて言うの?」

「エッ??」

「私まだ知らないけど」

「あっ・・・すいません姉さん。言うの忘れてました。えっと・・・衛宮・・・衛宮士郎先輩です」

こうして凛と桜は奇妙な縁で再会を果たし、衛宮家に出入りする様になった。

ちなみにであるが、凛は士郎の姿を見た時あまりの迂闊さにいっそ全身の血を抜き替えようかと言う事も真剣に検討していた。

その彼は彼女を殊更敵視する柳洞一成と良く一緒にいる彼だった。

まさかこんなに身近にあの少年がいたとは思わず、凛はただただ悔いていた。

そうして、士郎を調べる為に衛宮家に通う様になっていったが、一年近く経った今では手段と目的が完全に逆転している節すらあった。

最初は『衛宮士郎が魔術師であるかどうか調べる為に衛宮家を訪れて』いた筈が今では『魔術師であるか調査する事を口実に衛宮家を訪れて』いる。

それほど衛宮家は二人を温かく迎えているのだし、そしてその屋敷のたった一人の住人にどうしようもなく惹かれていた。

「桜、言っておくけど私は一度手に入れると決めたからには、諦める気も塩を送る気も無いからそのつもりでいなさいよ」

「はい、姉さんも覚えて置いてください。私も先輩については妥協をするつもりはありません」

そう言いあって姉妹は微笑み合う。

出来ればあの少年がマスターでない事を祈りながら。







二人揃って校門に到着するとそこには先客がいた。

「あら?綾子?」

「美綴先輩」

「ああ、遠坂に桜おはよう」

弓道部前主将の美綴綾子が丁度そこにいた。

「どうしたんですか?こんなに朝早く」

「いや何、今までの癖でつい早く来過ぎただけ。それにしても妹の方はいつも通りだけど姉貴の方は珍しいじゃないの」

「何よ綾子、その言い方?」

「いやいや、いつもの遠坂だったらまだ夢の中か寝惚けている最中だろ?」

的を射た発言に桜は苦笑し凛はむっとした表情を作る。

桜にとっては頼りになる姉御肌の先輩であるし、凛にとっては猫を被らずに付き合える唯一の女友達だった。

「それとも姉妹揃って衛宮の朝飯をたかりに行っていたのかい?」

笑いながらそう言う。

「「なっ!!!」」

それに対して絶句する遠坂姉妹。

「「美綴先輩(綾子)!!どうしてそれを!!」」

「ありゃホントだったのか?」

その言葉にかまを掛けられた事を悟る。

「綾子・・・あんた性格悪くなったと違う?」

「ははは・・・悪い悪い。まあ桜は衛宮の所に通っているのは有名だから知っていたけど、まさか遠坂までとはね。さてと、遠坂お詫びと言ったらなんだけど、弓道場で茶でも飲んでいくかい?妹の弓の様見ながら」

「そうね・・・そうしておくわ」







静かに弓を構えそして射を放つ。

そんないつもとは違う凛々しい妹の姿を凛は眼を細めて見ていた。

「どうだい?あんたから見て妹の様子は?」

「そうね・・・悪くはないわね」

そう言いながらお茶を優雅にすする凛。

「それにしても桜が衛宮に惚れているのはわかっていたけど、まさかあんたまでとはね」

「悪い?」

「いやいや、これでも祝福しているつもりなんだけどね」

「そう?だったら素直に受けてあげる。もっともこれが去年の賭けの時だったら、あんたをぎゃふんと言わせられると思ったんだけど」

「お生憎様、あれも成立条件はあくまでも正式に付き合っている時のみ」

「それはわかっているわ」

こういう風に憎まれ口を叩けるのも互いに気心の知れた友人故だろう。

「さてと、そろそろ退散するとしましょうか?」

「そうだね。あたしならともかく学園のマドンナ、遠坂嬢までいるとパニックが発生するのが落ちだろうからね」

そう言うと、

「じゃあ桜あたし達はこれで退散するよ」

「桜、部活に励みなさいよ」

「はい、姉さん、美綴先輩」

桜に声を掛けてから、他の部員が来る前に二人はこの場を後にしたのだった。







学校に着くと俺は一目散に生徒会室に足を運ぶ。

そこには眼鏡をかけた気難しそうな男子生徒・・・俺の高校からの友人で前生徒会長の柳洞一成が待っていた。

「衛宮か、すまんな」

「いや、こっちこそ悪い。一成待たせたか?」

「いや、俺は時間通りだ」

「で、今日は何処を修復すりゃ良い?」

「ああ、こっちだ。付いて来い」

そう言うと、一成は生徒会室を後にする。

俺もその後を追っていった。

暫く歩いて入った教室にある年季の入りまくった石油ストーブを一成は指差す。

「こいつだ。昨日まで老体を酷使していたのだが遂に動かなくなってな」

「どれどれ・・・しかし、一成。これ俺が去年にも修理したものじゃないのか?」

「そうだ。あれから文化系にも充実した予算組みを働きかけていたのだが俺一代ではどうする事も出来なかった。真に無念」

「それでも少しづつ良くなっているだろ?」

そう、内の学園は部活動の予算配分が運動系で八割以上と極端すぎるほど偏っていた。

文化系はえてして二割以下を細々と分け合う形なって貧困に喘いでいたが、昨年一成が会長となってからその極端な不均衡を正すべく、予算配分の調査を開始、その結果予算で最も多くの割合を食っていた二・三の運動系部活で使途不明金が大量に発生している事が発覚、その年の生徒総会は大紛糾したものであった。

その結果、運動系の予算配分は大きく削減され文化系にも五割弱の予算が回るようになった。

これにより一成は文化系から『救世主』とも呼ばれている。

最も運動部からは『えこ贔屓』と陰口で非難されているが、これを言えば使途不明金を突かれるので運動部としてもどうしようも出来ないと言った所が正確だろう。

それでも長年の資金不足による備品の老朽化は深刻で全ての取替えにはおそらく数年かかるだろう。

「まあな、これでも修理不可能と思われるものから交換を優先的に行ってきたが、いかんせん数が多すぎる。そうなると衛宮お前だけが頼りだからな」

「まあ、頼まれればやるがな。俺でも不可能だって言っても恨むなよ」

「安心しろ。お前でも無理ならそれは天寿と言うもの。恨むべき何者でもない」

そう言ってカンラカンラと笑う一成。

「えっと・・・」

ふたを開けて中を覗くふりをしながら魔力を通して俺はストーブの構造を素早く解析する。

(故障箇所は・・・去年と同じか・・・だが・・・元の基盤が・・・やばいな・・・だけど・・・これならまだ保つな・・・)

それから改めてストーブを解体し解析で判明していた故障を直していく。

「一成大体これで保つと思う。しかし、今年の冬が多分限界だな。基盤自体がいかれつつある」

「そうか・・・しかし、これでどうにかなるな・・・来年度の最優先交換リストに加えて置こう。どちらにしろ助かった衛宮」

「ああ、そうしてくれ。で次は?」

「ああ、こっちだ」

そう言って教室から出るとそこには朝に会った顔があった。

「む!!遠坂」

「あら?柳洞君じゃないの?おはよう、元でも生徒会長は大変ね。こんなに朝も早くから登校なんて」

「ふん、貴様の様な女狐に心配されるほど落ちぶれてはおらん」

顔を合わせるなり一成は露骨にいやな顔を見せ凛は凛で底意地の悪そうな笑顔(あかいあくまの笑み)で応酬する。

だがこれは珍しい光景ではない。

何しろ一成はこの学校の中で数少ない事に(下手をすればただ一人だろう・・・)第一印象から凛を蛇蝎の如く忌み嫌っている。

それこそ凛と一成との間では熾烈な冷戦が繰り広げていたとも言われているが全ては闇の中だ。

「一成、そこで凛と話すのも良いがもう時間も無いんだろ?」

やむを得ず俺が仲裁に入る。

「おおそうだったな。このような女怪に無駄な時間を割いている暇は無い。次は音楽室だ。あそこも老朽化が酷くてな」

「ああ、わかった。じゃあ凛、またな」

「ええ、じゃあまたね衛宮君」

凛は未だにあの笑みをたたえて俺たちと別れた。







更に数点修理を行っている途中で

「おや、衛宮じゃないか?」

「ああ、美綴、おはよう」

「ああ、おはよう」

俺がかつて所属していた弓道部の前部長の美綴綾子とばったり出くわした。

「どうしたんだ?こんなに朝早く」

「ああ、部活時の癖がまだ抜けていないみたいでね、早く登校しちゃってね」

そう言ってあっけらかんに笑う。

「なるほどな」

「そう言う衛宮は精が出るね」

「まあな。そう言えば部活はどうだ?」

「まあ、新部長は桜だからね。この分だったら来年度の新部員の確保は容易だろうね」

「それもそうだな」

「しかし残念だよな衛宮。あんた結局一度も公式試合出れなかったね」

「仕方ないだろう。俺のこの手じゃ」

そう言ってグローブに包まれた俺の手をひらひらさせる。

「でもさ、あんたの腕だったら間違いなく全国レベルだよ」

「仕方ないって。それに入部した時も公式試合には出れないって藤ねえから勧告受けたから」

そう、最初俺が弓道部に入ると聞き当時の部員の殆どが猛反対していた。

当然だろう俺のこの手では。

それでも藤ねえが提示した練習中は目に付かない所で行う、そして公式試合には出ない、苦肉の策といえるこの二つの条件にある程度納得したのか、俺は入部を認められた。

「おい、衛宮何をしているか。早く来てくれ」

「わかった!!直ぐ行く。そう言う訳なんでな。じゃあな美綴」

「ああ、またな衛宮」







「そう言えば一成、結局凛とはずっと仲悪いままだったな」

「当然だ。何度も言っているがあれは猫の皮を着込んだとんでもない女狐、あれに心を許せる筈が無かろう。この学園生活で最大の後悔となればあの女狐の化けの皮を剥げなかった事だしな」

「ははは」

「それよりも衛宮お前も結局遠坂を下の名前で呼び続けたな」

「まあな、妹の桜とも知り合いだから苗字で呼ぶとどっちがどっちだか判らなくなるし、それにあれでも凛は付き合い良いしな」

一通りの修理も終わりホームルーム直前に教室に帰ってきた俺達はそんな事を言いながら席に付く。

とそこに、

「やあ、衛宮、相変わらず生徒会の点数稼ぎかい?」

そう言ってきたのは間桐慎二。

俺の中学時代からの悪友であり、俺と同じ元弓道部部員だ。

根は決して悪い奴ではないのだが、どうも気分屋で感情の上下が激しい。

一分前まで上機嫌だったのが些細なきっかけで不機嫌になる事など日常茶飯事だ。

「別に点数稼ぎなんかしてないぞ。一成の頼みに付き合っただけだが」

「はっ、君にそんな気が無くても周囲の眼から見たらそう思えるのさ。ただでさえ遠坂姉妹と仲良さげに話す男子は君だけなんだから」

口調は嫌味がたっぷりと乗っていて、傍目から見れば悪意ある中傷に聞こえるが慎二が俺の身を案じている事は長年の付き合いからわかった。

確かに慎二の言うとおり、遠坂姉妹の名前を、しかも呼び捨てで呼ぶ男子はおそらく俺だけだろう。

それに時折登下校を一緒にする時すらある。

彼女達に憧れる男子生徒からすれば俺は憎んでも憎みきれない怨敵と言う事になるようだ。

これで食事を一緒に取っているなんて事が知れれば俺の命は無いだろう。

「そうだな・・・サンキュ慎二、もう少し気をつける」

「なっ・・・なにも、衛宮の身を案じている訳じゃないからな!!」

そう言うと慎二はさっさと自分の席に戻って行った。

「衛宮、それにしてもお前、間桐には気前が良いな」

そのやり取りを聞いていた一成が俺にそう尋ねる。

「ん?そうか?まあ、慎二とは中学から悪友やってきたからな。あいつの気分屋も慣れれば味があるってもんさ」

「そんなものか?・・・まあ良い。話は戻すが・・・確かに妹の桜嬢はあのような姉がいるとは思えないほど素直で良い女性だが、あの女狐が付き合いが良いとは思えんが」

「そんなものだって世の中って奴は。・・・ってそろそろ席につかないとな。ぐずぐずしてると藤ねえが来るぞ。爆走しながら」

「ははは、言い得て妙だなそれは・・・それにしても・・・何時見てもお前の両手は見ていて痛々しいな」

「そうか??」

「ああ、衛宮は常に見慣れているかもしれんが、こちらとしてはその様な物で隠さなければならない程ひどい痕だと思うとな」

「そうでもないさ。痛みとかはないから、見た目ほどじゃないし・・・だけど見ていてあまり気持ちの良いものじゃないしな」

俺はそう言って美綴との話でも話題に乗ったグローブを見る。

言うまでも無い事だが、本来このようなグローブの着用は校則違反なのだが俺の場合少々特殊な事情で許されている。

と言うのも十一年前新都一帯を灰に化した大火災、俺はその時両手に酷い火傷を負った。

そしてその痕は凄惨に今も俺の両手に刻印されている。

無論大火事当時は全身に火傷を負っていた。

しかし、それらの痕が綺麗に消えても何故か両手だけは消える事無くこのグローブの下に残されている。

その火傷の痕を初めて見た者は例外なく目を背ける。

それ故、俺は春夏秋冬・朝昼関係なくグローブを填めて、痕を隠している。

高校入学直後、当然と言うべきか生活指導の教師に咎められ、保護者代わりの藤ねえの説明に加え実際にその痕を見せた所、特例中の特例としてグローブをはめることが許されている。

まあ、俺としてはそれを利用してかつて、ゼルレッチ老からもらった魔力封印のグローブを填めている訳だが。

そう言い合っている内に予鈴の鐘が鳴る。

そしてその一分後、

「うひゃあああああ!!遅刻遅刻!!」

「と言うか・・・あんたが遅刻してどうする・・・」

俺は溜息混じりにそう呟く。

そして、扉がガラガラーと開き、

「皆おっは・・・」

台詞の途中でなんだが、見事につまずき藤ねえは脳天から床に叩きつけられる。

その途端教室は異界に突入したかのように静まり返る。

「・・・おい、藤村死んだんじゃ・・・」

「馬鹿言うなよ。あの藤村が簡単に死ぬか?」

「そうそう・・・これで死んでたら藤村もう三桁の回数あの世に逝っているって・・・」

前列はにわかにざわつく。

「手っ取り早く起こすにゃあれしかないだろ?」

俺はもはや突っ込む気力も無く(当然だろう、学校でも家でも見せられれば感性が麻痺所か崩壊する)結論だけを言う。

「そうは言うがな衛宮・・・あの恐ろしさもあるからそう簡単には・・・」

「そうは言うがな慎二、あれをあのままに出来るか?」

俺はそう言って床にピクリとも動かない虎を指差す。

「・・・・・・」

慎二の答えは無言。

「そう言うこった。皆耳塞げさっさと起こす」

その意味を察したのか俺がそう言った瞬間、全員が耳を塞ぐ。

最前列の生徒に至っては机の下に潜り込んだ。

「行くぞ・・・起きろーーー!!!タイガーーーーー!!!!!この駄目虎!!!!!!

次の瞬間、

「う、ううううううう・・・」

微かに身震いしたと同時に

「うがああああああああああああああ!!!!!!タイガーと呼ぶなーーーーーーーー!虎と呼ぶなぁぁぁぁぁ!!」

大絶叫と共に雄雄しく立ち上がる藤ねえ。

「って・・・あれ?私何をしていたんだっけ?まあいっか。はいはい!!ホームルーム始めるわよー」

恐ろしい事に記憶が完全に飛んでいた。

「はあ・・・まあ、いっか・・・」

俺は安心すると同時に婿のアテあるのか?と他人事ながら心配になった。

(みすみす虎の餌食になる命知らずがいるとも思えないし・・・)

これが俺こと衛宮士郎のいつもの朝の風景である。







授業も終わり、生活費稼ぎのバイトも終わって俺は家路に急いでいた。

「急ぐか・・・おそらく凛と桜はもう居るだろうな・・・」

そう言いながら坂道を上がろうとした時そこに見慣れぬ少女がいた。

「・・・・・」

何をするでもなく、ただ佇んでいる白い少女が・・・

だがその少女は俺を認めるとにこりと微笑んで坂を駆け下り、俺とすれ違いざま

「お兄ちゃん、早く呼ばないと死んじゃうよ」

笑顔とはほど遠い事をさらりと告げ、駆けて行った。

「なっ・・・・・・」

俺が振り返った時少女はもう影も形も無かった・・・












後書き代わりの注意文

  いきなりこの様な文章があります事をお詫びします。

  それでもあえてこの文を出しましたのは無用に掲示板などが荒れる事を避けたい為にこの様な形式をとりました。

  さて、この『聖杯の書』ですが話自体は普通のFatessとしてはかなりつまらなくなってしまいます。

  サーヴァント同士の戦闘らしいものも殆ど行われません。

  普通に『聖杯戦争』物を読まれたい場合は私の所では期待しないほうが良いです。

  あくまでも『七歴史』内での『聖杯戦争』は 『蒼黒戦争』のごく一部に過ぎませんのでご了承お願いします。

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